病院の採血室や診察室から、張り裂けんばかりの叫び声が聞こえてくる時があります。
そう、注射を怖がる子どもの声です。
その声は外で待つ私達にもその恐怖心が伝わってくるほどです…
そして、「大丈夫よ、もうすぐ終わるから」と、か細いママの声がまた痛々しく聞こえます。
一方、何事もなかったかの様に注射を終えて診察室などから出てくる子どももいます。
注射が嫌いな子だと泣いたり暴れたりと、お母さんだけでなくお医者さんも大変ですよね。
何とかして克服してあげたいものですが、どんな方法が有効なのでしょうか?
今回は子どもの注射嫌いの克服方法や対策方法などを紹介していきたいと思います!
☆大人の方で注射が怖い!と悩んでいる方は以下の記事も参考にどうぞ!
注射が怖いと思うのはなぜ?
子どもが注射を怖いと思うのは、ほとんどの場合、注射初体験の時の印象や感じたことが原因です。
ですが、その前に「子どもが目で見た印象」や「周りからの情報」などが先に子どもに植え付けられる場合もあります。
- 注射の話を周りから聞いて「痛いものなんだ」と情報が入る
- 病院などで泣き叫ぶ子どもの様子を見て「やっぱり痛いものなんだ」と確信に変わる
- 自分の番になった時にはもうすでに「怖い、痛い」という前評判が備わって、確認するだけのことになる
結果、「注射は自分が見聞きした通り、怖くて痛かった。だからもうしたくない」となるのです。
では、注射に対しての具体的な子どもの印象や気持ちはどのようなものでしょうか?
- 注射は痛い
- 注射は血が出る
- 男(女)の先生から注射された
- 体を押さえつけられた
- 注射する方の手(足)を強引に引っ張られた
- 病院や医院の特別な環境に馴染めない
- 日常生活にはない場所や物に馴染めない
などなど…
中でもダントツ1位は、やはり「注射は痛い」です。
だって、何でもないところに針を刺すのですからね…針を抜くと時には血が出る時もあります。
「血」は怖さを倍増させますね。
大人だって、注射と血は嫌いな人が多いのです…
注射恐怖症の可能性はある?
子どもの注射に対する怖さは、もしかすると「注射恐怖症」と関係があるかもしれません。
文字通り、「注射の時だけ怖いと感じて、様々な異常をきたす」というものです。
調べによると、5~9才での発症が最も多いということです。
注射の順番を待っている間や注射の最中などに現われる症状を参考にして、病的な症状か、違うものかを見極めることも大切でしょう。
①注射恐怖症の症状
- 汗が出る
- 動悸がする
- 呼吸が早くなり、息が苦しくなる
- 胸が苦しい
- 吐き気がする
- 体にしびれを感じる
- 自分の力ではどうしようもない不安感や恐怖心を感じる
- 気が遠くなる(うつろになる)
- 気を失うこともある
などなど。
こうやって見ると精神的な恐怖による症状が多く見られますね。
②注射恐怖症は遺伝的なことも
遺伝の可能性が強い注射恐怖症は、家族や血縁の中に「注射は怖い」と人より強く感じる人がいる場合が多いようです。
健康診断や予防接種などで一緒に注射をする時に、見るからに怖がっている家族はいらっしゃいませんか?
③注射恐怖症の克服法
基本的に人間は痛いものや怖いものには、「近付かない」あるいは「逃げる」などが当たり前の生活を送っています。
ですが、そんなことばかりを繰り返していると必要な注射をすることに対して、ますます恐怖心が強くなっていきます。
注射恐怖症の克服法は、ずばり慣れることです。
親ができる対策方法!
子どもの注射にはたいていの場合、パパやママがついて行くことになると思います。
対策方法は注射に行く前から始まっています。
家で練習する
子どもはお医者さんごっこに興味を持ち、特に女の子は大好きな遊びの1つかもしれませんね。
親を患者に見立てて、自分が医者になりたがります。
子どもが医者の真似をするとなると、喜んで注射をしたがることでしょう!
医者ごっこの際に「痛くないですよ」と言う子どもは、もうすでに親などから言われたことがあり、真似をしている可能性があります。
そんな時のママ(パパ)のお芝居では多少痛い顔も必要ですし、「痛いよ」と言っても良いのです!
「でも頑張って泣かなかったよ」というところを子どもに見せましょう!
子どもはその姿を覚えていて本番では、「ママ(パパ)が我慢していたから自分も・・・」と頑張れる場合があります。
必ず前もって伝える
黙って注射に連れて行くことは、子どもの心を裏切ることと同じです。
当日嫌がるかも…と不安になるかもしれませんが、正直に「明日は注射の日だよ」と伝えましょう!
そのせいで夜の寝付きが悪くても、子どもは自分で考えて明日の注射に対して心の準備をするものです。
不安と恐怖で寝付きが悪くても決して怒ったりせず、優しく寄り添ってあげましょう!
注射の後のお楽しみを用意する
「注射を頑張ったら、好きなおやつを1つ買ってあげるよ!」
「終わったらご飯食べに行こう!」
など、あまりに日常からかけ離れた金額ではない「プチご褒美」を用意するのも良いでしょう!
さらにそれが泣かずにできたとなれば、「プチご褒美」でも大きな前進と言えそうです!
いつも一緒のおもちゃを持って行く
子どもにはたいていの場合、肌身離さず持っている「特別なおもちゃ」があるものです。
まさにそのおもちゃは、「自分の世界に欠かせない」または、「自分の親友である」唯一のおもちゃでしょう。
親はそんなおもちゃに「○○ちゃんが余り痛い思いをしない様に助けてね」や「応援してね」などと子どもの前でお願いして見せるのも良いかもしれません!
子どもは親の願いのこもった「特別なおもちゃ」と一緒に注射に臨めば、頑張れるかもしれませんね!
きょうだいや親が先に注射をする
その子どもだけが注射をするのではなく、予防接種なら親やきょうだいも一緒に受けてしまうのが良いですね!
その場合、注射の始めから終わりまで自然に(普通に)過ぎていくところを見せられなければ意味がありません。
先に済ませる親やきょうだいには、上手なお芝居が必要です。
「はい、次、○○ちゃんね!」とタッチして席を替われればゆったりと注射に臨めることでしょう!
「子どもと相性の良い先生で」とお願いする
まず、子どもにどの先生が良い(好き)か、聞いてみましょう!
何度か訪れていれば、きっとお気に入りの先生が見つかっているはずです。
ここは、子どもと先生の信頼関係にかけてみるのも1つの方法でしょう!
※不可の病院もあります。
「前回とは違う先生で」とお願いする
初めての注射で「痛い、怖い」を経験してしまうと病院までは行くけれど、診察室に入れない子どももいます。
それは、「あの扉の向こうに、あの先生がいる」という恐怖心があるからだというのです。
そこで、前日にでも「注射は、前回とは別の先生で」と、お願いしてみるのも良いでしょう!
そして、「扉の向こうは、違う先生だ」ということを子どもに伝えて不安を取り除いてあげましょう。
※不可の病院もあります。
「注射をする子どもと離して呼んで欲しい」とお願いする
診察室の扉の向こうで大泣きする声が聞こえると子ども自身が同調して、まだ診察室に入ってもいないのに、泣き出すことがあります。
そこで、「ほかの注射する子どもと、順番を離してください」など、前もってお願いしてみるのも良いかもしれません。
※不可の病院もあります。
注射が済んだら褒める
とにかく注射がすんだら、ひたすら大げさに褒めましょう!
きっと子どもは「痛い」と言うでしょう。
けれども、「痛かったけど、よく頑張ったね!偉かったね、すごいね」と何度も褒め、気持ちをおもちゃや絵本や、動くものなどへ気持ちを向けさせましょう!
注射をする病院を変えてみる
子どもが一度「怖い、痛い」と記憶した病院は、その玄関まで行っただけでも泣き出す場合があります。
そんな時は、思い切って病院を変えるのも1つの方法です。
子どもが注射で泣くのは、単純に「痛い」だけではない場合もあり、「病院を変えたら泣かずに注射ができた」という話もあるのです!
ママ(パパ)友や口コミからの体験談は、大切な情報源になるでしょう。
おすすめの克服方法は?
先ほど少し「注射恐怖症の克服法」について載せましたが、ここでは具体的な克服法をお伝えしたいと思います!
競争心をかき立ててみる
自分より小さい子どもが診察室から注射を終えて出てきた時に、「○○ちゃんよりも小さい子が頑張ったよ!だから、○○ちゃんも負けていられないね」と子どもの競争心をかき立ててみましょう!
診察室から出てくる子どもがいたら、注射でなくても取りあえず注射をした子どもに仕立ててしまいます。
「あの子は泣いてないね」や「負けていられないよ」と声をかけ、子どもの競争心をくすぐるわけです。
そして、「勝てる、勝てる、できる、できる、大丈夫、大丈夫」と半ば「洗脳する作戦」です。
ママ(パパ)は、わざとらしくならない様にお芝居しましょう!
先生と仲良くなる
検診や注射をしない診察の時に、できるだけ先生と仲良くなっておくと「この先生なら」と、注射がしやすくなる場合があるようです。
「子どもと先生の信頼関係」である程度のことは克服できるみたいですね!
注射の場所を自覚させる
これからどこに注射をされるのかを、しっかり自分の目で確かめさせましょう。
場所が分かれば、恐怖心が薄れる可能性があります。
上級編ですが、針を刺す瞬間まで見せることができれば、突然の針を刺す痛みに驚かずに済むかもしれませんね。
注射恐怖症の克服
「注射恐怖症の可能性はある?」でも紹介した通り、「注射恐怖症」というものがあります。
今までも泣きべそはかいていたけど、最近特に酷く泣きわめいたり、顔から血の気が引いたり、中には具合が悪くなるなどの子どももいるとのことです。
今までと様子が違うと感じたら、1度子どもを抜きにしてかかりつけ医に相談してみても良いかもしれませんね。
NGな対策・克服方法
いくら子どものためを思って言ったとしても、逆に注射の恐怖心や嫌悪感を抱かせてしまうこともあります。
そうなってしまう前に、予め注射嫌いの子どもに言ってはいけないことを頭に入れておきましょう!
「痛くないよ」と言う
注射は痛い、これは医者によって差はあれど、変わらない本当のことです。
なので「痛くないよ」という言葉は対策にも克服にもなりません。
逆に、「嘘をつかれた」「だまされた」と思うことでしょう…
そうなると、ある程度成長した時に、何かの拍子に「ママ(パパ)は、注射は痛くないって言って、だまして連れて行ったよね」などと言われかねません。
泣き止ませるためだけにおやつなどを用意する
ただ泣き止ませるだけの「おやつ」や「おもちゃ」を与えないことです。
子どもは「注射をしたらご褒美が貰える!」と簡単に考えてしまいがちだからです。
「注射を頑張れた=泣きわめかずにできた」のご褒美として与えることは短期作戦としては有効ですが、泣いても与えてしまったら、頑張る力(我慢する力)が育ちません。
「なんで泣くの!怖がるの!」と怒る
恐怖と痛さで泣きわめく子どもに「なぜ泣くの!泣いちゃダメ!」と強く言ったところで、子どもには火に油を注ぐのと同じです。
しかも、「うるさい!」など、ママ(パパ)の方が焦って感情に任せて言ってしまっては致命的です。
元々子どもの注射は慣れるまでにも時間がかかります。
親はどんな時にも落ち着いていたいものですね。
まとめ
子どものほとんどは注射が嫌いです。それはいつの時代も同じです。
子どもの頃に母親に言われた言葉を思い出してみました。
今思えば、相当なスパルタだったと振り返りますが、
「何でもないところに針を刺すのだから、痛いに決まっているよね。でもこの注射をしておかないと、大きな病気にかかってしまうのよ」
「どうやって注射をするのか、ちゃんと見ていなさい。顔を背けていたら針を刺された時に、ビクッとするでしょ?」
など、当たり前の様に言われていました。
だから、私は決して泣かない子どもだったと聞いています。
どんなに言い聞かせても「嫌なものは、嫌!」は当たり前の反応です。
ここでママ(パパ)の方が焦ってしまっては、その気持ちが子どもに伝わってもっと騒ぐことにもなりかねません。
ママ(パパ)は、どこまでも落ち着いていることが肝心です!
先ほど病気のことにも触れましたが、もしもママ(パパ)の手に余るほど酷い様なら、1度子ども抜きで相談しても良いかもしれませんね。
☆大人の方で注射が怖い!と悩んでいる方は以下の記事も参考にどうぞ!