年始を彩る食事といえば「お節料理」ですね。
漆黒の外観を持ち、内側には日本の伝統色である朱で染められたお節料理の重箱。
その色彩感覚を見た海外の方に「まるでフェラーリを見ているようだ」と感心されてます。
この美しい器にとある一定の規則性を持って配置されている品々には、「おもてなしの精神」がおごそかに光り輝いています。
そんなお節料理にはどんな歴史があるのでしょうか?
今回は「マメに働けるように」という黒豆などの「お節の具材の由来」について紹介していきたいと思います!
お節の具にそもそも意味ってあるの?
「七草がゆ」「ひな祭り」「子どもの日」「七夕」「菊花酒」
これらには共通点があります。
江戸幕府の公式行事であり明治6年の旧暦から新暦への変更に伴い廃止された「五節句」です。
菊花酒以外は皆様にもお馴染みの現在にも尚残る日本文化ですね。
古来中国では、元日から7日までの動物の日(鶏狗(犬)猪(豚)羊牛馬人)にそれらを殺してはならず、1月7日の人日(じんじつ)は、罪人に刑罰を行われません。この日を五節句のひとつとしました。
「節句」のもともとの字は「節供」です。
平安時代に行われた元旦行事を「御節供(お節く)」といいます
※お節料理とは「御節供料理」だったのですね!
節日ごとに供養するという意味があります。
映画「ちはやふる」にも紅葉(もみじ)の葉を供養するシーンがありますね。
「このたびは ぬさもとりあえず 手向山 もみぢの錦 神のまにまに」
「今回は急な旅であり、今何もありませんが、せめてこの手向山の美しい紅葉を供養いたし、相応しい布施であるかを、神の御計らいを仰ぎ、道中の無事有事、この命をおまかせいたします」
供養と言っても様々で大昔には、自分の腕の皮を剥いで供養しようとした人もいますし、全財産で少量の油を買い、灯りを供養した人もいます。
何もない子どもが真心からドロ団子を作り供養したというお話もあります。
自分の身を切って捧げるものだと考えるならば、生活を切り詰めて命の源である質素な食料を集めて供養したと思われます。自分たちが食べるのが目的ではなかったのです。
転じて、自分が食べる料理ではなく食べさせたい相手のためにお節料理を作ると考えるのが良いのではないでしょうか?
お節の具の意味まとめ!
まずは代表的なお節料理の内容26種をピックアップしてみましょう!
【祝い肴8種】
黒豆 数の子 田作り タタキゴボウ
紅白かまぼこ だて巻き 栗金団 お多福豆
【焼き物4種】
鯛の焼き物 鰤の焼き物
海老の焼き物 鰻の焼き物
【酢の物3種】
紅白なます ちょろぎ 酢蓮(すばす)
【煮物10種】
昆布巻き 陣笠椎茸 楯豆腐(高野豆腐)
手綱コンニャク 芽出しくわい 花蓮根
矢羽根蓮根 ヤツガシラ 金柑の甘露煮
梅花にんじん
煮しめ
お節料理を食べさせたい人への願いや祈りにはこのようなものがあります。
- 健康
- 長寿
- 五穀豊穣
- 出世
- 金運
- 勝利
- 学問
- 子孫繁栄
- 無病息災
- 武運
などです。
数の子:子孫繁栄の願いとともに、ニシンを「二親」と表し二親(ふたおや)である父母への思いが込められています。
鯛:めでたい(語呂合わせ)
昆布巻き:よろこぶ(語呂合わせ)
蓮根:複数空いた穴のように将来の見通しが良くなるように。
鰤(ブリ):出世魚
ごまめ(五万米):五穀豊穣。
伊達巻や昆布巻き:「巻物」を表し、学問が良くできるように
金柑や栗金団:金運
ちょろぎ(長老木):長寿祈願
ヤツガシラ(八ツ頭):親芋が大きいことからカシラになることを願う。また、親イモに子イモがたくさんくっ付いてるさまから子孫繁栄の願い。
また、武家時代の飾りがお節料理に3品あります。
陣笠の形の椎茸、馬のタズナを模した蒟蒻、盾を形どった豆腐(高野豆腐)です。
現代の男性で言えば、スマホ、ネクタイ、システム手帳、女性で言えば、スマホ、口紅、システム手帳でしょうか?
駅伝ランナーなら、タスキ、バトン、サングラスがあてはまるのかもしれません。
手向山の紅葉のように心こそが大切であり、具材に決まりはありません。
かんぴょうはタスキに、両切りのウインナーはバトンに、椎茸を使ってサングラスを型どるのも面白みがありますね!
トリカツを語呂合わせして「勝つ」や「羽ばたく」という意味を込めてもいいですし、お洒落を楽しむ大人になって欲しいという願いを込めて、ねじりスカーフを模した切り干し大根に、アクセントとして鮮やかな赤い鷹の爪や南天の実を一粒添えてみるというのはいかがでしょうか?
子どもにも分かるお節の具の由来まとめ!
漫画「ワンピース」の世界は、お節料理と似ています。
①海があって、舟があって(出世運:出世魚のブリ・里芋・エビ・鰻)
②海賊王になるために(学問:昆布巻き・だて巻き)
③海図を見て(見通し:蓮根)
④行き先を決める(武家装束:椎茸・豆腐・コンニャク)
⑤船には旗などの飾りがある(先の見通し:蓮根)
⑥望遠鏡で先を見通し(五穀豊穣:ニシン・ごまめ・タタキゴボウ)
⑦海がウマい魚でいっぱいであるように、食うに困らない(金運:金柑・栗金団)
⑧金運に恵まれるように(息災:黒豆・タタキゴボウ)
⑨海難事故に遭わないように(縁起:紅白なます・紅白かまぼこ・エビ)
⑩縁起をかつぐ(健康:黒豆)
⑪病気をしないように(魔を防ぐ:赤いかまぼこ)
⑫船上で気持ちがふさぐことが無いように(武運:栗金団(勝ち栗))
⑬戦いに勝つように(長寿・子孫繁栄:黒豆・エビ・数の子・ニシン・ヤツガシラ・ちょろぎ)
⑭遠く離れた家族が健やかであるように(清浄:白かまぼこ)
船上にいる仲間たちの無事を深く祈る、陸にいる「ドクターくれは」のような気持ちでしょうか。
「ドクターくれは」が、お節料理を作るとしたらどんな具材を詰め込むのでしょうね。
暗い夜に、チョッパーたちを思い 、重箱にお節料理をひとつひとつ丁寧に詰めている姿が目に浮かぶようです。
まとめ
お節料理はもちろん自分も食べるのですが、食べてもらいたい相手のことを思い作る料理です。
もしも一人でお正月を迎える方がおられるのなら、食べさせたい相手のことを思い、願いを込めて、お節料理を作ってみてはいかがでしょうか?
☆お節料理の手作りレシピは以下の記事にて紹介しています!