ここ数年で、服を着た犬をよく見かけるようになりましたね。
屋内で抱かれた犬にも、公園や道路を散歩中の犬にも見られます。
しかし、可愛らしい一方で「犬に服を着せるのはどうかと思う」という反対意見が出ているのも事実。
実際、服を着せようとすると嫌がる素振りを見せたり、逃げてしまう犬も少なくありません。
今回は犬が服を嫌ってしまう理由や、上手な着せ方を紹介していきたいと思います!
犬に服を着せるのはアリ?
当然ですが、犬が自ら好んで服をまとっているわけではないですよね。
飼い主など、人が着せているのです。
犬に服を着せることについては様々な意見があります。
極端な意見としては、
「犬に服を着せるなんて虐待だ!」
「寒い冬に服も着せないで散歩するなんて虐待だ!」
などなど…
少し前までは「犬に服を着せるなんて~」という意見が目立ちましたが、現在は服を着せないことに対しても反対意見が出ているようですね。
犬からすれば服を着せられることは、”基本的には”ちょっぴりお節介ということになります。
しかし、服を着ることをあまり気にしない犬であれば、犬自身や人にとって、時と場合によりメリットもあるようです。
服を着せるメリット
- 「抜け毛」や「ふけ」の飛散防止
ホテル、大型スーパー、飲食店、喫茶店、など犬同伴可能な場所も増えてきました。
盲導犬が服を着ているのも、衛生環境への配慮があるのでしょうね。
- 術後や皮膚病などの掻き傷防止
言わば包帯代わりです。
服を着ているため、引っ掻いたり舐めたりすることを防止できます。
ただし、エリザベスカラーといった専用の道具もありますので、まずは獣医さんの指示に従いましょう。
- 体温調節ができない犬の暖房着
老犬、幼い子犬、病気の犬など、体温調節がおぼつかない犬の暖房着です。
人間が服を身につけるのと同じですね!
- 犬自身のおしゃれ
可愛くすることにより、家族間、友人間などでのコミュニケーション促進や、お年寄り・病人などに対する元気付けになります。
後者はセラピー犬などに該当しますね。
服を着せるデメリット
犬に服を着せることに対し、当然デメリットも出てきます。
- 服と皮膚の間に抜け毛やふけが溜まってしまう
服と皮膚の間に「抜け毛」や「ふけ」が溜まってしまうという衛生的な問題もあります。
着せっぱなしではなく、適度に着替えさせてあげましょう。
- 精神的・肉体的ストレスがある
一番のデメリットはストレスでしょう。
人間と違い、犬は服を着るという習慣がありません。
いくら可愛いとはいえ、無理に着せるとストレスの元になってしまいます。
犬が服を嫌がる理由
まず、初めて服を着た犬が示す反応の例をひとつ見てみましょう。
[服を着ると落ち込み、脱ぐと荒ぶる柴犬クッキーさん]
※動画投稿者様を批判・非難する意図はございません。
このクッキーちゃんは服を着るのはこの時が初めてだったようで、余程緊張していたのですね。
しかしこの後、服を着るのに慣れたとのことです。さらにクッキーちゃんは皮膚炎でお腹の毛が無いとのこと。
初めて服を着る犬にとって、服自体は体外の異物以外の何者でもありません。
背中やお腹にまとわりつく異物、脚の付け根の動きを邪魔する異物、ですね。
例え上記の動画のような「お腹の冷えや炎症の防止のため」といっても、犬はまず理解が出来ません。
服を取り除こうとするのは自然な行動です。
また、厚手の服や硬かったり重かったりする服、きつく縛られ体に密着した服。
これらは背中を強く圧迫しているかもしれません。
犬の祖先であるオオカミは、群れ内での優劣関係をはっきりさせるときなど、優位個体が劣位個体にのしかかって馬乗り状態になることがあります。
服を着せられた犬の中には、背中に外部圧力がかかることで、群れ生活をしていたころの劣位行動が呼び起こされてしまうような子もいるのかもしれませんね。
着せる際に注意するべきこと
服を嫌がるといっても、個体差も大きい上、初めは嫌がっていても慣れればほとんど気にしなくなる子もいます。
また、室内犬として強い選抜を受けてきた品種などを含めると、「一概に犬は服は嫌い」とは言えないでしょう。
そんな状況も踏まえながら、犬に服を着せたいと考える際に注意するべきことを挙げてみましょう!
子犬の頃から慣れさせる
幼い子犬は成長しながら自分のこと、周囲のことを学習して行きます。
遊び盛りの子犬時代に服を着せると、ほとんど気にせず、それが自然と思って成長する可能性大です。
おやつを与えてでも服に慣れさせる
成犬の場合は少しずつ服に慣れてもらい、その上で着てもらいましょう。
そして服を着たらご褒美としておやつをあげてみましょう!
ご褒美としては、褒めることでも、好物を与えることでも、散歩などに行くことでも、その犬がもっとも喜びそうなことが良いですね!
しかし犬は服を着たがっているのではなく、ご褒美を期待しているということをお忘れなく。
そのご褒美が、ご主人の喜ぶ姿、ということであれば勿論文句無いのでしょうけどね。
犬に合わない服を着せない
- 厚い服
- 重い服
- 硬い服
- 袖長の服
- サイズが合わないきつい服
- 耳が隠れるようなフード付きの服
以上の服は犬の行動を束縛し、精神的・肉体的ストレスを与える可能性があります。
なるべく犬にあった服を選びましょう!
着せるのは短時間にする
犬に服を着せるのは一緒に外出するときや、室内でも写真撮影やお披露目などの時に限るようにしましょう。
犬はお人形さんではありません。一日中服を着せるのはやめましょうね。
また戸外に出て一人で遊ぶときや、気温が高いときにも着せるのを避けるのが賢明でしょう。
どうしても嫌がる犬には着せない
残念ながら、何度試しても服を身に着けるのを嫌がる犬もいます。
それは犬の品種差かもしれませんし、犬の性格の個体差やそれまでの生活環境の差かもしれません。
いずれにしても、そのような犬に無理やり服を着せるのは強いストレスを与えるだけです。
術後など特別の場合を除き、ストレスを与えるために服を着せるのでないことは肝に銘じておきましょう。
まとめ
犬に服を着せることについては、色々な意見があります。
犬に服を着せることのメリット、デメリットも色々あります。
基本的には、犬は服を着ることを欲しているわけではないでしょう。
服は犬にとって自分の体にまとわり付く体外の異物です。
そこから犬が服を嫌う原因が生まれてしまいます。
犬に服を着せたい場合に基本となることは、犬の立場にたってどうしたら良いかを考えることでしょう。
注意点などを参考にし、どうしても嫌がる場合は「着せない」ようにしてあげてくださいね!